海部郡医師会について 会長挨拶

会長挨拶

海部郡医師会会長 松田 啓次

chairman

徳島県南部に位置する海部郡は面積比における医師数は県内最も低く、少子高齢化の進行も団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年を待つことなく、まさに現在進行形であります。また、災害面でも東南海地震への備えなど多くの問題点を抱えています。
その中で県立海部病院が平成29年5月に高台へ新築移転、2つのヘリポートを有し地域の救急を支えると共に緊急災害時などの拠点としても期待されています。

海部郡に生まれ育った方々は風光明媚で清んだ空気、夜空の輝き等当地をこよなく愛されており、終の棲家を自分の家でと望まれる方が多くいらっしゃいます。我々医師会も、この要望に可能な限り寄り添って行きたいと考えており、海部病院を中心とし、医師会、看護協会と三者協定を結び、他の地域にはないより密な在宅医療・介護連携を推進しています。
海部郡内の診療所と海部病院の先生方との間にチームを組んで、休日・夜間等の急変時に補完しながら、連携された患者さんには後方ベッドを海部病院に確保して戴くシステムです。

一人だけでは在宅医療に踏み込みにくいのは当然ですが、急な出張等でも患者、医師共に安心できる状況となってきました。海部病院内にも専任の訪問看護師が常在しており、バイタルリンク等を活用してよりスムーズな連携が始まっています。これにより在宅医療・介護の連携でより良い在宅サービスを進めていくことが可能となっています。

疾病予防に対しては3町の保健師、管理栄養士、医師会が協力し、特に海陽町においては特定健診の受診率向上に取り組み60%に達しようとしております。(一昨年度県内2位)このデータを基に糖尿病性腎症進展予防や大血管障害予防に取り組んでいます。また、小児肥満率は依然高く継続的な支援が必要な事から就学児童の年次推移を追跡し、運動食事指導にも取り組んでいます。
認知症対策としては地理的状況を考え、認知症サポート医を中心に早期発見に努め、高齢者見守り事業や認知症サポーター養成にも協力しています。

防災観点からは海部病院の高台移転のみでは不十分であり、DMATと共に動ける仕組み作りにも取り組みが必要です。また、住民の切なる願いである地域高規格道路、阿南・安芸自動車道の開通も日和佐道開通から既に8年近く経過しており、一刻も早い南進が期待されます。早期開通は三次救急・徳島赤十字病院へのアクセスを改善し救命率の向上と共に震災時の孤立を防ぐ為に最重要課題です。

住み慣れた土地で安心して生活できる環境作りに取り組んでいくために、歯科医師、薬剤師、訪問看護師、ケアマネージャー、栄養士、介護職員、役場、そして住民の皆様の協力が不可欠であり、海部郡医師会としては、地域全体を支える仕組み作りの礎となるべく努めてまいります。